在宅医懇話会

がん末期患者への支援─ケアマネジメントのポイント

匝瑳市民病院 看護部長 大木信子

高齢化の流れに伴うマネジメントの問題点

 平成3年から訪問看護に従事し、去年の4月から母体病院である匝瑳市民病院に戻ってきました。15年ほど地域で在宅ケアに関わってきた経験を踏まえて、在宅緩和ケア体制の今置かれている課題と今後についてお話をさせていただきたいと思います。
 ここ十数年、がんの医療や緩和とそれを取り巻く社会情勢は変化してきています。とくに少子化、高齢化、それに伴う介護者の不在、そして医師不足、医師の偏在は大きな問題となっています。私どものエリアでも地域内での医師の偏在に苦しんでいます。この辺りの状況を語らずしては何事も前に進んでいかないと思います。
 厚生労働省が出した統計資料によれば、平成17年度には単独世帯の数が平成元年度の2.6倍にも跳ね上がっています。なかでも男性の割合は3.3倍と女性より増えています。これも今後の大きな課題になってくると思います。
 高齢者マネジメントの問題を事例を通して考えると、以下のような5つのポイントが挙げられます。
(1)夫婦のみ世帯・・共倒れ、行き詰まり型
(2)家族だけで看る 頑固・いこじ・排他的型
(3)家族優先思考、家族の意見に従うべき型
(4)本人思考重視、家族負担増型
(5)経済的問題大、介護放置・放任型
 このようなマネジメント上の課題は、問題が組み合わされ複雑になっています。家族介護を前提にしていた歴史的な背景から、次のような急激な社会構造の変化が起きており、介護意識が混乱しており、過渡期と言えます。
(1)女性の社会進出、(2)介護者不在、(3)核家族化、(4)超高齢化、(5)高齢者夫婦世帯、高齢者独居世帯の増加、(6)認知症の増加等の病態像の変化
 介護保険の理念は自己決定と自立支援ですが、現在の要介護者の多くは家族介護全盛時代を過ごして今日を迎えており、家族が介護をすることを前提にしている方たちがまだかなりいらっしゃいます。

在宅で最期まで過ごせるために必要なこと

 私が勤めている匝瑳市民病院の中の地域ケア部の訪問看護ステーションが、がんの患者さんを在宅で看取ったケースの割合をお示しします。ある単年度のデータになりますが、29人亡くなった方がいて、そのうち21人が在宅で、8人が病院で亡くなっています。
がんの患者さんの最終在宅療養期間については、一番長いケースが101日以上で8名いました。少ないところでは1〜5日、飛び込みで戻ってきて在宅での看取りを要望する方もいます。
在宅で最期を迎えるためにどのようなことが必要なのか整理をしてみると、やはり本人の主体性、主介護者の存在、キーパーソンとして家族のリーダーシップを取ってくれる方がいることが挙げられます。疾患状況の理解も本人だけでなく、介護されるご家族がどれぐらい理解をされているかがポイントになります。家にいるために障害になるさまざまな症状のコントロール、計画的な在宅療養への移行、医療者との信頼関係も大切になってきます。
実際に穏やかに在宅で最期を迎えられなかった要因としては、まず本人の主体性が見えない。たとえがん末期の独居の患者さんであっても、自分は家で最期を迎えたいという意志を強く持っている場合には人を動かす力があります。それによってチームが動き、チームが自分たちの持っている専門性を活かせるということで結束していく。チームが主体的に関わっていかないと、在宅で最期を迎えるのは難しくなってしまいます。
 2番目には介護力の不足。主介護者がいるかいないか、十分に機能するかが重要です。主介護者の存在が不十分だったり、優柔不断だったりすると、やはり患者さん本人の不安感が高まり、落ち着かなくしてしまいます。介護者の方たちがどれだけ決心をするか、覚悟を決めるかということです。また、私たちがここにどれだけアプローチできるかも重要です。介護者と十分に時間をかけたやり取りをしながらアセスメントを行うことが、介護者の不安の軽減につながります。
 3番目に家族の結束力がなかったり、キーパーソンが不在であるときは、主介護者を支える力はかなり弱まってしまいます。家族間の意見が食い違うことはよくあることです。例えば嫁いだ娘さんがお嫁さんに対して思いをぶつけたりする。手は貸さないけれども、口は出すという方々がたくさんいます。そうすると、関わるチームはお嫁さんなど、主に介護する人をかばったり、その方が家族として「こんなふうに患者さんご本人を支えていきたいんだ」という気持をまとめ上げることがご本人のために必要となってきます。
 在宅療養移行前の家族の意志の統一に関して、専門職である私たちが関わるタイミングや関わり方も大変重要だと思います。ここを家族任せにしてしまうと、まとまるものもまとまりません。信頼関係を作り上げていく流れの中で関わっていく必要があります。
 4番目は疾患状況の理解が出来ていない場合です。症状の変化の受け入れが困難な場合などがこれに当たります。例えばどうして痛みがあるのか、どうして息苦しいのか、だるいのか、きちんと説明を受けておらずコントロールができていなかったりすると、在宅で過ごすことは難しくなります。
 介護される方たちに予測される症状と適切な対処方法の説明がなされることで、「これはあのときに先生が説明してくれたこのことなんだ」という納得が得られます。そうすれば、もう少し家で看ていこうという気持につながっていきます。インフォームドコンセントがいかに重要かということです。
 5番目に嫌な痛み、苦しい症状というのはQOLを考えたとき、どうしても邪魔になってきます。ですから、できるだけ症状のコントロールを行っていくことが重要になってくるわけです。積極的かつ適切で迅速な対応をどう行っていくのか、チームの中でのプロトコールができていることが必要だろうと思います。
 6番目に無計画な在宅療養への移行が挙げられます。「今しか時間がない」とか、「今帰らないで、いつ帰る」という言葉をよく耳にします。ご家族に「早めに帰ったほうがいいですよ」というようなことを不用意に口にしたり、説明に加えて言ったりすることがありますが、準備不足が逆に不安を強めたりします。思いつきだけの在宅療養への移行は、患者さんやご家族の不安や苦痛を増強させる因子となります。
 それをどれだけコーディネーターである主治医、ときには受け持ちのナース、退院調整の担当者、ソーシャルワーカーやケアマネージャーが理解しているかがポイントとなります。チームの中心になって関係者を巻き込み、カンファレンスを行い、必要な準備対応を行うことが不安要素を減らすことになります。こうした関係性をいつから、どんなタイミングで行っていくかが今後のポイントになると思います。
 7番目に医療者との信頼関係が挙げられます。医療者側が「こちらはきちんと説明した」と考えていても、患者さんやご家族がどれだけ理解されているかは別です。言った、言わないの問題ではなく、ご本人が家に帰ってからどんな生活を望んでいるかを前提に説明が加えられることが必要です。
 ドクターも退院調整を担当するナースやケアマネージャーも、家に帰ることに対するイメージ、家に帰った後の想定も踏まえた説明をする必要があります。ですから、患者さんやご家族を十分に知っていなければなりません。その説明が可能になることによって、信頼関係も築き上げられます。これは24時間の支援システムの構築には欠かせないことです。

制度改正でがん末期に対する介護・看護体制が強化

 介護保険が平成12年に始まった当初、がんの末期は特定疾病に加えられていませんでした。18年度の改正に伴い、「死亡という転機をたどる結果として、介護等を要する期間が継続しないものであり、死亡までの期間は一貫して不可逆的な要介護状態の悪化を来すものであるから、6ヵ月以上の介護を要することを要件として選定された他の特定疾病と同様の扱いとすることは可能である」ということで特定疾病に追加されたわけです。
 介護保険の在宅の中重度者へのサービスは、このダブル改訂で診療報酬も変わりました。在宅に向けては4%とかなり重視され、がん末期のサポートが強化されていったわけです。訪問看護についても同様に強化されました。がんの看取りの際、1ヵ月前に登録されていない患者さんがその一月の間に亡くなって、きちんとターミナルケアがなされたとしても、これまではターミナル加算は受けられませんでした。それが改正され、登録されてから複数回訪問してターミナルケアがなされた場合、きちんと加算が認められるようになりました。
 また、在宅で最期を迎えなかった場合のターミナル加算についても認められるようになりました。例えばきちんとしたターミナルケアがなされていたのにも関わらず、突然患者さんに吐血などがあり、家族が驚いて外来に救急搬送してそこで亡くなられた場合にも、24時間前にきちんとターミナルケアがなされていた場合には加算が認められるようになったわけです。この他にもたくさんの改正がなされ、訪問看護の強化が図られました。
 介護に関しても、療養通所介護が創設されました。これまでがんの末期や医療依存度の高い神経難病の方は病状が安定しているということで、デイケアなどの通所系のサービスにはなかなか受け入れてもらえませんでした。しかし、そうした人たちも社会的に外へ出ていくことを望むであろうということから、がんの末期や難病の方たちの短期入所、日帰りケアなどが認められるようになったわけです。また、認知症グループホームの医療連携加算、特定施設の夜間看護加算も大きくプラスされていきました。

自宅でない場所でも、安心して最期を迎えられる体制に

 18年度には診療報酬、医療保険上の改正もありました。これについても在宅療養に関するポイントが強化されていきました。(1)在宅支援診療所の制度化、(2)入院から在宅への円滑な移行についての加算、(3)在宅医療における24時間体制の評価、(4)在宅ターミナルケアの見直し、(5)患者の重症度を反映した訪問看護の評価の見直し、(6)自宅以外の多様な居住の場におけるターミナルケアの推進がこれに当たります。
 特に重要なのは(6)で、特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウス等に居住している場合にも、ある程度の条件は付きますが、訪問看護が可能になりました。自宅ではない在宅という考え方が認められるようになってきたのです。
 先ほどの統計上にもありましたように、一人で生活している方たちも増えてきました。そういう方がケアハウスに住もうと、有料老人ホームに移ろうと、それぞれの施設をきちんと自宅として位置づけ、安心して過ごせるようにしていくことがこの改正の趣旨です。
 自分の家ではないところでも、満足のある死を迎えられるためにはどうしたらいいか。その要素には、次のようなものが挙げられます。
(1)痛みを伴わない(疼痛コントロール)
(2)可能な限り高い身体機能を保つ
(3)長期間続いていた対立関係を解決する
(4)最終的な願いをかなえる
(5)ケアについての決定を家族(信頼できる人)委ねる

末期がんの独居の高齢者もチームで支えられる

 社会構造の変化に伴って介護者が不在になったり、独居や高齢者世帯の終末期はこれからどんどん増えてきます。これは私たちがこれから関わっていくときの大きな壁になったり、一緒に悩むところだと思います。一人で生活してきた人は自立性も高く、主体性もきちんと持っている人が多いものです。ただ、高齢者世帯で伴侶に先立たれて突然独居になってしまうケースも少なくありません。こうした場合の一人暮らしと長年一人暮らしで来た人と、問題を分けて考える必要があります。
長年一人暮らしだった肺がんの末期の方がいらっしゃいました。呼吸困難、痛み、吐き気、食事が取れなくなる、倦怠感など、毎日毎日さまざまな症状が出てきました。そして信頼できる親族もいない。生活保護を受けおり、経済的な問題もありました。
 でも、近所には茶飲み友達がおり、これはプラスになる要素でした。ちょくちょく来てもらえる気の置けない仲間がいることで、心細さは緩和できる。そういう役割を担ってもらうことになりました。東京には心の許せる友達がいるということだったので、いざというときには力を貸していただき、泊まりでケアをしてもらえないかという検討もしました。
 ヘルパーは日々の食事の準備、環境の整備などの生活支援を担いました。福祉課の方々は生活保護など経済的な問題への支援、介護保険以外の市町村の持っているサポートシステムを持ち出しました。
 それからこの方は大変な愛犬家でした。愛していたワンちゃんが何年か前に亡くなり、淋しいと訴えていました。そこで犬のレンタルを行いました。女子高生のボランティアが犬の散歩やケージの掃除を担当してくれました。
 この方が心配だったのは、今持っている家の処分のこととお墓の手続きのことでした。自分がいなくなった後、誰がどうしてくれるのかと、私たちに伝えてきたわけです。死後の対応については自分たちが責任を持てますよという精神的な部分のアプローチ、ソーシャルワーカーからの情報提供、相談支援が得られました。民生委員さんはその地域でのいろいろな問題に対応してくれました。
 独居の方の場合、チーム編成、緊急時の対応マニュアルを共有できるようなチームをきちんと作れることが大切です。それがきちんと作れれば、たとえ独居であっても望みは叶えられると考えます。
 主治医にどれだけリーダーシップが取ってもらえるかも重要です。24時間対応可能な訪問看護、医療メンバーが症状の緩和を中心にしてスクラムを組めるかということです。例えば、この方の場合は夜間一人でいる時間が長く、さまざまな症状が出てきます。本人が今症状が苦しい、痛みがある、吐き気がある、眠れないというときに、自分でチョイスできるような方法が必要です。たとえば自分で手に取って薬が飲めるなどの準備ができていなければなりません。夜間のささいなことを一つひとつ検討していくことです。

若年者や積極的治療者がターミナルとなったとき

 それから、私が今、問題だなと思っているのが若年者や積極的治療者への対応です。専門病院で最前線の治療を受けてきた方々がターミナルの時期になってきたとき、積極的な治療から徐々に緩和ケアへ移行していくことになりますから、ターミナルケア介入のあり方は重要です。そこには以下のような課題が考えられます。
(1)治療方針の切り替えるタイミング
(2)余命、残された時間の心構えをどのように
(3)医療機関の変更(在宅診療機関紹介)
(4)介護者への指導は誰にどのように
(5)だれがコーディネーター、いつから介入すべき
(6)関係機関との情報交換のやりとりは。どこまで丁寧に
 この会の前の渡辺班の会議でも在宅緩和ケアのあるべき姿についていろいろ話をしたのですが、具体的にどうアプローチをしたらいいのか。医師一人ひとりの方針や対応にはやはり差があり、標準化されていないことが今、大きな問題となっています。私たち訪問看護ステーションのナースはいろいろな先生方から指示書をいただきますが、先生方の考え方が違ったりして、すごく苦労することもあります。
それから、がん専門病院とその地域のがんのための診療拠点病院との連携が今はほとんどなされていません。今年から始まったがん対策基本法の方針がどうすればきちんと地域に根づいていくかということです。地域医療の現場には、がんの専門医が少ない、あるいはいない場合もあります。この辺りについては在宅医懇話会の先生方の力が大きくなってくると思いますので、期待をさせていただきたいところです。
 また、緩和医療は専門医にしかできないという風潮が私どものエリアではまだまだ根強くはびこっています。そうしたなかでできる限り医師の苦手意識をなくしていく必要があると考えます。そのためには教育システムや情報提供、定着の部分が課題ではないかと、在宅医懇話会のこれからに期待するところです。
 そのほか訪問看護ステーションの体制や対応には、やはり格差があります。2.5人で立ち上げられた小さな訪問看護ステーションでは、なかなか24時間のサポート体制を整備していく力がありません。その辺りをどうしていったらいいのか。チーム作りのコーディネーターの位置づけが不十分だという課題もあります。
 そのほか自治体病院の今の私の悩みとしては、医師の定数割れという問題もあります。これはいろんなところで今お話しさせていただいているのですが、在宅専従医がおらず、地元在住医も少ないのが現状です。地元に住んでいる先生がいないということは、どうしてもいざというときの24時間体制に揺らぎが出てしまいます。国は「在宅、在宅」と言いますが、家に帰れない人がまだたくさんいます。やはり地域で受け皿となる在宅の専門医療チームを作っていかない限りは難しいことではないかと考えています。


<質問・意見>

質問  在宅医療を進めていく上では、それを支えてくれる訪問看護ステーションが必要となる。四街道市では5月に訪問看護ステーションがなくなってしまった。そのため今は佐倉から応援してもらっている。今現在、そちらの訪問看護ステーションでは何人で働いているのか、24時間体制に十分対応できているのか教えて欲しい。
大木  千葉県の訪問看護ステーションは昨年かなりの数の休廃止があった。一昨年までは161カ所ぐらいあったが、もう150を割ってしまっている。うちでは今、管理者が0.5の実働で、だいたい5人で運営している。その他にパートの職員が2人いる。今登録している患者さんは約80名で、6割が母体病院から、4割が開業医や他の病院から指示書をいただいている。 24時間体制で対応しているが、うちの地域では開業医の先生方が24時間の支援システムを持っていて、1人の開業医が自分の受け持ちの患者さんだけではなく、持ち回りでときには応援にいけるようなシステムがあるので、なんとかやれている。病院も24時間のサポート体制を敷いているが、科によって体制が少し違って、受け持ちが訪問する場合と、科の中で今日の担当医は誰と決めて対応しているところがある。

質問  昨年から在宅医療の政策がだいぶ変わってきて、在宅支援診療所や訪問看護ステーションを増設して、在宅療養支援をもっと充実させていく方向にある。しかし実態としては、今のお話の中にもあったように、昨年千葉県でも登録を廃止したり、縮小している訪問看護ステーションが多いという厳しい現状。今後どうしていったらいいのか。
大木  現実的には大変厳しく、病院の看護師も足りない。また、2.5人という少ない人数で立ち上がっている場合、ケースが増えなければ運営できない。一方で看護師自身、子育てや親の介護などを抱えている場合もあり、状況はかなり厳しい。
 制度的にも訪問看護についての社会的なニーズは増えていきているが、その重責からやめていくところも多い。国がどれだけ看護師の働きやすい場を作っていくかが重要。2.5人では24時間に対応することはできないので、もう少し規模を大きくして協働で経営していくスタイルを取っていかないと難しい。同じ地域のステーション同士でネットワークを組んでいくことで、できることがあるのではないかと思う。そうした方向で発展できれば24時間地域を支えていけるのではないか。

意見  訪問看護を始めて7年ぐらいだが、今聞いたお話は普段私も感じていることだ。私も病院にいるときは医療がメインだったが、訪問を始めてから在宅医療では生活がメインだと感じている。いろいろな医師から指示書をもらって訪問しているが、医師と家族の考え方が合わない場合もときどきあり、そういう場合が一番困る。
 点滴や薬が必要な場合もあるのはわかるが、家ならば点滴をすぐやるのではなく、本人や家族、看護師の負担にならないよう坐薬や飲み薬での対応で可能なのではと思うときもある。逆に考え方が同じ方向性の医師に出会うととてもうれしく思う。 24 時間対応はうちのステーションも行っているが、5人だけでやっていて家庭もある中でなかなか迅速な対応が難しい。早めの対応をといっても、現実にはできない場合があり、利用者の方の信用を失うようなことがないようにと考えている。医師サイドも24時間対応してくれる方とそうでない方がいて、難しいなあと思っている。
意見  介護保険が始まって、在宅医療や訪問看護は整った形になってきたが、昔、私の親の頃から医師が辺鄙なエリアのお年寄りを診に行ったり、死にそうな人のところに往診して看取るということは行われていた。国の言うようなきれいな体制を整えてしまおうとするから、介護報酬がどうだ、2.5人がどうだという話になるのではないか。
 ステーションという形を取って整えようとすると、書類がたくさん必要になる。ステーションとも連携しているが、看護指示書、○○報告書など煩雑。監査が入ると大変になる。私のクリニックでは訪問看護師はみんな直行直帰で報告は口頭と1、2行の報告書だけ。自前なら何の監査も入らないし、1回につきいくらと報酬が入る。行かなければその報酬は入らないが赤字になるわけではないし、患者さんは喜んでくれるし、それでいい思う。
 病院を退職してからうちに来た看護師もたくさんいて、そういう人たちに対して「近所のお年寄りのターミナルの患者さんを一人でいいからあなたが張り付いてみていてくれ」と頼み体制を整えている。その看護師は患者さんの親戚みたいな感じで、24時間盆暮れなく張り付いていて、担当の看護師に家族や患者さんが連絡すれば、必ず私にその連絡が来て、その人が訪問して取ってきたバイタルは必ずその日のうちに報告が上がる。そのことは患者さんにも伝えてある。
 日中は大学病院に勤務しているが、そこで親切で意気を感じる、一生一緒に働きたいなという看護師がいたら、結婚退職などをしても、どこに行こうと住所を聞いて、近くの患者さんを一人でいいからみろと言っている。
 私は自分の子どもが赤ちゃん頃から、子どもが熱を出しても毛布にくるんで往診に連れていっていた。ゲーゲー吐いている患者さんの隣で、子どもは寝てたり、泣いてたりするけれど、絶対そういう子は優しい子になる。看護師だって自分の子どもをみながら、一人や二人は患者さんを在宅でみてほしい。子どもが生まれたからいったん仕事を離れるなんて理由にならない。おせっかいなおばさんのナースがいると地域は助かる。
≪2007年6月10日 第5回在宅医懇話会≫
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